移住者・定住者インタビュー

生まれ育った町にあったのは、
自然豊かなと人のつながり

谷口 恭平さん、麻美さん

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 若い頃に仕事で県外に出た谷口さんは、約6年前に智頭町にUターン。「これから先、どう生きていこうかと考えたときに地元にいる自分が頭に浮かんだ」。麻美さんというパートナーを得て、2人の子宝にも恵まれた。豊かな自然と人とのつながり、心豊かに充実した日々を過ごしている。

Profile

谷口 恭平(たにぐち きょうへい)さん、麻美(あさみ)さん

恭平さん/1985年、智頭町生まれ、麻美さん/1987年、鳥取市佐治町生まれ。恭平さんは愛知県の製造業の会社で10年間働き、29歳でUターン。2017年に麻美さんと結婚し、当時住んでいた鳥取市から智頭町で住まいを移す。長男、長女の4人家族。

孤独感を感じ、離れて気づいた地元の良さ

──山道を車で登っていくと、静かな広々とした土地に「ゆめが丘」と名付けられた集落がある。そこで家族4人で暮らす谷口さんも、20代の頃は県外で約10年間働いたが、その時に感じたのは気のおけない仲間や知り合いの多い地元の良さだったと言います。

恭平さん:

 10代の頃から地元を離れ、愛知県で製造業の会社に勤め始めました。そこからなんだかんだと10年間。独身で気楽に暮らしていたんですけど、一方で知り合いという知り合いも職場の人しかおらず、家と職場の往復のような毎日を過ごしていました。だんだんと「ずっとこのままでいいのかなぁ」と思うようになったんです。

 その時は独身でまだよかったですけど、この土地で家族も持ったり、家を建てたりするんだろうか。それとも独身のままずっとこんな生活なのかなって、20代後半にもなると考えましたね。そんな時、大型連休や年末年始に智頭町に帰ってくるときが唯一の楽しみでした。同級生も県外に出る人も多かったんですけど、たまたまみんなが地元に戻ってくるタイミングも重なって、自分も帰ることを決めました。

 仕事も帰ってきてから探し始めました。先々のことを考えて介護の資格をとり、研修を受ける間は、夏場は梨の選果場でフォークリフトを運転したり、アルバイトで生計を立てていました。ちょうどその頃、妻と出会いました。やはり地元の友人や家族、知り合いに囲まれての生活は安心感もありましたね。

自然豊かな場所で、安心して子育て

──林業の町ならではという山々を望むロケーションの谷口家。豊かな自然が広がる中、地元の木材をふんだんに使った町営賃貸住宅でのんびり暮らしておられました。

恭平さん:

 結婚して最初は智頭から近い鳥取市用瀬町に住んでいたんですけど、どうせならいつかは智頭町で住みたいと思っていました。そんな時、今住んでいる物件の話を聞いたんです。町営の賃貸住宅で一定程度住むと、自分たちの持ち家になる町独自の住宅助成制度で、申し込んでみたらたまたま当選して、ここに引っ越してくることになりました。山を切り開いたような場所で周りは見渡す限り山で、自然が豊かなところだなと感じています。

麻美さん

 私は最初ここに来て、まだ道も整備していないし、「ここに住むの?」と実は乗り気じゃなかったんですけど(笑)、住んでみたらいいところかもしれないなと思って住み始めました。職場からも車で5分だし、保育園も遠くなく、街中も意外と近くて困らないです。本当に静かで人目もあまり気にならないし、子どもたちも自然に囲まれながらのびのびと育ってくれたらいいなと思っています。家の前まで鹿が来ていたり、ここに来て初めてキジをみたのには驚きましたけど(笑)。

充実した毎日を送っている地元暮らし

──家の壁には、家族の記念日の思い出の品や写真がたくさん飾られ、充実した暮らしぶりが感じられました。妻の麻美さんも智頭町での子育てや暮らしに徐々に慣れ、知り合いも増えてきたと言います。

麻美さん:

 結婚してすぐに智頭に来て、子どももできて、ここまであっという間でしたね。最初は友達もあまりいなかったんですけど、子育て支援センターや保育園でお母さんたちと話すことが増えました。前に住んでいたところはアパートで近所づきあいも全然しなかったので、そういうつながりができてきたのも嬉しいですね。たまには外で息抜きもできるし、主人の友達の奥さんたちとも輪が広がってきて楽しく暮らせています。

恭平さん

 今は家族もできたし、仕事でもだんだんと任されることも増えて責任も出てきました。若い頃に一人で悩んでいた頃を考えると、仕事の環境や家庭の生活環境も違うし、帰ってきたら子どもと遊べるし、毎日の充実度は全然違う。家のことも、仕事のことも、知り合いから声をかけてもらったり、縁を繋いでもらったりがあるのが田舎の良いところ。昔はなかなか気づかなかったですけど、やっぱり住んでみて智頭町で良かったと感じています。

──取材を終え、家の外に出ると長男の煌青くんが恭平さんを誘って砂場遊びを始めた。聞けば恭平さんが木材や砂を調達してきて、子どもたちの遊び場になればと自作したのだという。自分で何かをして楽しめる生活の余白がある暮らし。「充実」という言葉と、家族とともにある笑顔に納得しました。

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