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東山・沖ノ山エリア

東山・沖ノ山――智頭林業の基盤を育てた森林

 現在につづく智頭林業の発展は、明治期に大呂甚平が雪害にも強いスギ苗の育苗技術を開発したことが画期(かっき)となった。天然スギの老齢木から採った下枝を苗木にする方法で、その技術は「赤挿法」、苗は「赤挿し苗」と呼ばれる。赤挿し苗の母樹となったのが、芦津東部に広がる東山(標高1,388m)と沖ノ山(標高1,318m)のブナ林中にある樹齢100~150年生以上の天然スギ「沖ノ山スギ」である。その後、この苗から育った人工林の優良木からも苗木が育てられるようになり、「青挿法」と呼ばれている。

 東山・沖ノ山は岡山県・兵庫県との県境に位置し、山陰と山陽とを分ける中国山地の脊梁(せきりょう)部にあたる。両主峰から西に向かって千代川の支流である北股川が流れ、その北股川上流一帯にブナクラス域のクロモジ-ブナ群落(多雪な山地に成立する落葉広葉樹の高木林)が発達する。この渓谷にある三滝は古くから雨乞(あまご)いの霊所として知られ、昭和20年代まで山陽方面からも大勢の参拝があった。

 一帯は深山で木地師(きじし)たちの活動の場であったが、近代の土地所有の再編を経て、現在は主に芦津財産区所有林と国有林から構成されている。芦津財産区所有林では、明治中期以降、芦津集落の人々により積極的に植林が進められ、育成林業を早くに導入した。大正期になると国有林事業の一環として沖ノ山森林鉄道が整備され、天然林資源の搬出に利用された。昭和後期に林業が低迷してくると天然林の一部を県有林としたり、軌道跡の一部を遊歩道としたりするなど、山林の多目的な利用を進めている。一方、国有林の一部は沖ノ山林木遺伝資源保存林として、スギ、ブナ、ミズナラといった樹種の天然分布が保護されている。

 

沖ノ山と芦津ダム

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広葉樹とスギ人工林

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